夏場は、FujiRockFestivalやSummerSonicなど、いわゆる野外フェスでタイマッサージのサービスをしたり、登山の引率をしたり、トレイルランのレースサポートのために山のてっぺんで選手のケアをしたりと、アウトドアな環境でお仕事をしておりますが、普段都会で生活している人とアウトドアな環境でお会いすると、同行した皆さんがガラっと変化する瞬間を間近で見られるので、本当に興味深いです。
さて、一般的に「運動する」「トレーニングをする」というと、スポーツクラブをイメージする方が多いのではないでしょうか。
室内で、季節を問わず、空調によって年中快適な状態が保たれていて、行けばいつも同じ環境で運動ができる。
雨が降ってもランニングができるし、毎週同じ時間に行けば、同じプログラムに参加できる。
スポーツクラブにはスポーツクラブのメリットがたくさんあります。
が。
同じ環境が保証された中でだけ、体を使っていると、果たして体はどうなるでしょうか。
人間の体にはもともと、「恒常性(ホメオスタシス)」という素晴らしい機能があります。
生命を維持するため、外部からの刺激に対して、体内を同じ状態に保とうとするんです。
ざっくり言うならば。
自律神経の働きや、ホルモンなど内分泌の調整、免疫系の働きを駆使して、過剰なものはおさえ、足りないものは補う。
ご飯を食べて血糖値が上がれば、臓器に糖をとりこみ血糖値を下げるためのホルモンを分泌する。
気温が高ければ、体温が上がりすぎないよう汗をかいて、気化熱により体温を下げる。
快適な温度と湿度が保たれた室内で、五感に対しても常に同じような刺激が多い状態では、この反応が鈍ってしまうリスクが非常に高いのです。
体は、五感を使って外部の情報を取り入れ、それをもとに体の機能を調整しています。
当然、外部からの刺激が少なければ、体を調節する必要がなくなります。
使わない機能は低下していき、いざ必要なときに働かなくなってしまいます。
夏場の熱中症の予防については、一般的にも注意喚起が増えてきました。
暑熱馴化といい、ある程度の頻度で暑さに体がさらされていれば、体は適応していきます。
汗をかきやすく、体温を下げやすい体に時間をかけて変化していきます。
これが、常に冷房のきいた環境にいたら、馴化は起こらず、いざ気温の高い場所に急にさらされたときに、汗もかけず熱中症のリスクは高まりますね。
また、室内で行う運動は視覚的にも刺激の種類が極端に減ります。
ランニングマシンでも、スタジオでも、景色はあまり変化がありませんね。
外部刺激の中でも、視覚情報は多くのウェイトをしめているため、景色の変化は体のコントロールにも大きく影響します。
例えば屋外で、歩いたり走ったり、山を登ったり、自分の動きによって背景が変化することは、視覚情報をもとに体のバランスを取り、筋出力を調整する、という人間本来の機能をしっかり使うことにつながるのです。
屋外とはいっても、わざわざ時間をかけて登山をしに行かなければいけないということはありません。
たまには、ランニングマシンやスタジオレッスンの替わりに、近所をランニングしたり公園を散歩したりする時間を作ってみてください。
季節の変化や、植物のにおい、いつもとは聞こえる音も違います。
体調の変化だけでなく、心理的にもポジティブな変化を感じられるはずです!