50歳を過ぎているとは思えないエイジレスな肉体、ビジュアルを持ち、30年のキャリアの中で、7万人以上への運動指導、3000人以上の運動者養成に関わってきたカリスマパーソナルトレーナー。一般の方からプロアスリートまでの指導、トレーナーの育成やプログラム開発、TVや雑誌等でも様々なジャンルでの著名人とのコラボ講演など、広い分野で活動している。 その活動の中でも最も得意とするパートナーストレッチを極めるため、その源流であるタイ古式マッサージに行き着く。約2500年に及ぶ歴史と伝統の中で育まれた精神と卓越した技術に解剖学に基づいた運動科学を融合させた「正しい知識・技術に基づいたタイ古式マッサージの指導、普及」に努める。
そんな木内周史の素顔に、#exercise #nutrition #rest 3つの側面から迫る。
#exercise
生活の中のありとあらゆることがトレーニング
Q: 日ごろどのような運動・トレーニングをしていますか?
日々の生活には、いわゆるランニング・ウェイトトレーニングなどの有酸素運動を始め、自分が知っているトレーニングは生活の中で全て取り入れています。例えば、テレビを見ながらバランストレーニング。納豆を混ぜながら青竹。大層な運動をしているというよりは、そんな風に生活に密着した運動を常にしていますね。
(左)バランストレーニングをしながらテレビを見る木内さん
(右)青竹を踏みながら納豆を混ぜる木内さん
基本的にトレーニング目的の有酸素運動には反対派ですが、移動手段として歩くのはとても好きで、2~3駅分はよく歩いています。他にも、階段はただの上り下りや歩くものではなく走るものだと思っていますし、エスカレーターも5階までは大概使いません。
こんな感じで、僕にとっては生活のありとあらゆることがトレーニングですし、「何かついでがないかな?」「機会がないかな?」と常に探しています。レジで人が沢山並んでいる時に、人によってはイライラしてしまうかもしれないけれど、「もしかしてこれは踵を上げるときかもしれない!」といったように。(笑) 品川から自宅までの道に桜がとてもきれいな通りがあるんですが、そこを歩くときも目のトレーニングをしていました。
水分補給は軟水で!
Q: 運動中、事前事後の水分補給やストレッチで気にかけていることはありますか?
運動の際の水分補給(ハイドレーション)で気を付けていることは、まずはタイミング。専門的な言葉だと、プレハイドレーション、インターハイドレーション、ポストハイドレーションと言うんですが、運動の事前・最中・事後に水分補給することを気を付けています。
あとは、飲むものに気を付けています。1時間以下の運動の際には基本的には水しか飲みません。スポーツドリンクもお茶も絶対飲まない。なぜなら、水分補給とは「水」を摂るものだから。
他の何が入っていても、例えば硬水に含まれるミネラルでさえも水分の吸収を抑制してしまうので、軟水にこだわっています。おススメは、「リセットタイム」というお水や、セブンのオリジナルのお水ですね。お水が飲みたかったら次のセブンまで走ります!(笑)
ストレッチは、寝る前には必ずやります。滅多にないけれど、3時4時に帰ろうと、酔って覚えていなかろうと、100%やっていますね。あとは、講義をしていて、皆メモをとっているな、と思ったときにストレッチをしています。
これもトレーニングと同じで、そんなに大層なものではなく、気づいたときに生活の中に取り入れているといった感じです。青竹は家に4種類あり、あれも足底筋膜のリリースの一環ですしね。
Q:運動について、読者の皆さんにおススメしたいことがあれば教えてください。
運動において読者の皆さんにおススメしたことは、「色々やること」でしょうか。ベストな運動というものは存在しないので、例えば週3回運動をしている人がいるのならば、同じ種類ばかりをやるよりも、色々な種類のトレーニングをした方が良いと思います。今風に言うと「クロストレーニング」という言い方になるのかな。色々な運動に挑戦してみてください。
朝起きて、朝日を見て、深呼吸を3回。日々のルーティンを大切に
Q:木内さんの日々のルーティンを教えてください。
ルーティンと言うと沢山ありすぎるけれど、例えば、朝起きて、朝日を見て、深呼吸を3回する。人間の体内リズムは、サーカディアンリズム(概日リズム)といって、実は25時間なんですよ。それに対して、地球の自転は24時間。この1時間の誤差を修正できるかどうかが、健康づくりにとってすごく大切なんです。その修正の仕方というのが、目から紫外線を入れることと、朝にタンパク質を摂ること。なので、この2つは心掛けています。
他にも意識しているのが基本的な「デトックス」。あと電気を消して寝るだけ!っていうときに、したいしたくないにかかわらず、トイレに行き、朝起きて深呼吸を済ませたらこちらもしたくなかろうとトイレに行く。
そのあとは、うがいをして歯を磨く。これは口の中の毒を出すためです。人間って、焼き肉を食べたあとでもなく、寿司を食べたあとでもなく、朝起きた時に一番口が臭くなるんですよ。なので、まずのどの汚れを出して、歯磨き粉をつけずに歯を磨いて犬と遊びます。犬、いないけど(笑) こんな感じで、日々ルーティンだらけです。
もっともっと動ける身体に。
Q:今、どんな身体にしたいなど、目標はありますか?
今よりも、もっともっと動ける身体にしたいです。言い換えると、オリンピック憲章にあるように「より速く、より強く、より高く」といったところでしょうか。これはオリンピック憲章を作ったクーベルタンの親友であるリトンという神父が言ったとされる言葉で。
例えば青信号の時間の長さは、1m1秒で歩道を渡りきれるように計算されています。でも、この青信号の1m1秒の速さですら歩けなくて渡れない人がいる。これってすごく暮らしにくいですよね。女性なら、60歳になって缶を開けられなくなる人もいると思います。
今はそんなに「速く・強く・高く」ある必要はないかもしれないけれど、今しっかり運動を頑張っておかないと、将来缶も開けられない、段差につまずくとわかっていても足が上がらない、といった状態になってしまうかもしれない。逆に言えば、今からしっかりやっていれば、120歳になってもどの缶もスポンスポンと開けられるかもしれない。
そう思うと、これらの3つの身体操作がしっかりできる身体でありたいですね。
精神論の世界から行動論の世界へ。「意志が弱い」という発言は意味がない!
Q: 運動を始めたくてもなかなか始められない人へ、メッセージをお願いします。
食べ物にしても運動にしても、「意志が弱い」と言う人が沢山いますが、僕はその発言自体に全く意味がないと思っていて。というのも、人間はそもそも意志が弱い生き物だからです。「私は意志が弱いです」と言うのは、「初めまして、人間です」と言うのと同じことだと思っています。
でも、そんな「意志の弱い」人間にも、「運動が出来る環境を用意すること」はできます。行く自信がなくても、例えばフィットネスクラブに入会してみる。そうすれば、お金が引き落とされ、もったいないから行く、行ったら運動しかすることがない、といったように、運動せざるを得ない状況を自分で創り出すんです。
いつまでも「意志が弱くて」といった意味のない自己嫌悪の世界、つまり精神論の世界にとらわれず、実践論(行動論)の世界に抜け出す工夫をすること。これが大切です。
これは、別に難しいことじゃなくて。例えば、テレビを見すぎてしまう、という人がいますよね。でも、そんなのとても簡単で。1時間以上見ない、という目標を立てるのであれば、テレビの4隅に「1時間以上見ない」って貼りまくったり、リモコンを寝室に置いて、いちいち取りに行かないと操作できないようにしたりと工夫すればいいんです。このように自分で環境を創って、行動論の世界に持ち込むこと、それがコツだと思います。
運動とは、「生きていること」
Q:木内さんにとって、運動することにどのような意味がありますか?
「生きていること」ですね。僕たちは、人間である以前に動物じゃないですか。動くものですよね。僕は120歳まで生きたいけど、管(くだ)が繋がれたら死にたい。なぜなら、それは静物(生物)になることだと思っているから。動物である時点で生物なんだけど、僕が今言った生物というのは、動物とは対極にある「静かなるもの」「動かざるもの」という意味で。
今の現代人って、物静かな人が多いですよね。でも、運動って僕たちが動物である証だと思うんです。「運命」が「動く」から運動というわけで、正しくやれば必ず運命は正しい方向に導かれるはず。それが、僕の考える運動です。
木内周史
エスドリーム有限会社代表取締役
フィットネスファスティング協会エグゼクティブディレクター
日本タイ古式マッサージ協会 エグゼクティブトレーナー
NESTA JAPAN 理事 全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会
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